インタビュー リリー・フランキー

俳優・リリー・フランキーが話題だ。この夏、演劇『ストリッパー物語』でストリッパーのロクでなしのヒモを演じ、その一方で先頃公開された映画『そして父になる』では温かい家庭を営む電気店の主人を、また映画『凶悪』では凄惨な殺人鬼にして狡猾な不動産ブローカーをそれぞれ熱演。それら演技の振り幅は驚くほど大きい。  が、そもそもリリー・フランキーとは何者か。イラストやデザイン、文筆、作詞、作曲など多岐にわたって活躍。マルチタレントと語られることが多いが、彼の真の姿は常に軽妙な語り口で煙に巻かれている。故郷、日常、思想など断片から、彼自身に迫った。
Interviewer MOICHI KUWAHARA / Phortography MIRI MATSUFUJI

それよりもお前の人生をデザインしろって

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桑原 そういえば以前、リリーが一緒に酒飲んでた子にマジックでタトゥーを描いてあげたことあったよね。それがすごいキレイだったんだけど、リリー自身もタトゥーの先生についてんだっけ?

リリー もともとは仙台でイベントがあって、絵だらけの男とすごくかわいい色白の女のコが最前列にいたんですよ。で、その女のコの胸にトライバル柄のタトゥーが入ってたんです。で、打ち上げみたいなことこで、その子たちが来てて、これキミが彫ったのっていったら。「いやなんか失恋してショックだっていうんで入れてあげたんです」って言うから、それよりお前の人生をデザインしろっていって。

桑原 へー。

リリー そいつが、絵が下手で、俺も入れ墨を勉強したいなと思ってたんで、じゃあ俺が絵を教えるから、俺に彫りを教えてくれって、俺が最初にそいつに弟子入りすることになったんです。そいつも本当の彫師になるために先生のところで教えてもらってて、俺もその先生のところに見学させてもらって、やってるうちに俺のほうがうまくなっちゃって。結局、「彫ゆり」って一門を作って、俺が初代で、そいつが二代目になっちゃって(笑)。いまそいつは仙台で「二代目彫ゆり」でやってます。

桑原 へー、彫場って言うんだ?

リリー でも、もう仙台の入れ墨屋さん全部そうだったと思うんですけど、どうかと思うくらい入れ墨バブルが始まるんですよ。

桑原 えー、なんで?

リリー 仙台で一時期、すごいベンツが売れたってのと同じで、みんな厭世的になってるようで。めちゃくちゃ忙しいらしいんです。みんな生死をさまよったからなんでしょうね。

桑原 覚悟の時代だよね。入れ墨って、本来は覚悟を入れるってことじゃない。命よりも大事なものがある。それを覚悟として入れるわけでしょ。いまもどえらいことになってるからさ。

リリー 仙台で増えた、新たに彫を入れた人たちって、亡くなった方の戒名を入れてる人も多いんでしょうね。

桑原 それにしても、いままでの墨を入れることって罪悪感だったりとか、社会性の中でのマイノリティだったりとかとか、リリーは、それを最後の最後でひっくり返して、ちゃんと意味のあることにしてしまうって役割をしてる気がするな。……絵を教えるってのは、どういう意味?

リリー デッサンですね。お客さんが言ったものを彫る人と、彫師がおこしたものと。アメリカのタトゥーはもとからある絵を彫っていって、そこから自分のオリジナルにしていくんですけど、それも技術がいる。結局、彫師は、絵を描かなきゃいけないんです。

桑原 なるほど。

リリー まだ全然、僕には技術も資格もないんで、お客さんを彫ることはないんですけど。もうすぐ、僕も50歳になるんで、なにか「やったことのないこと」にチャレンジしたいですね。たとえば、ホモになるとか(笑)。


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