ヴィンセント博士の ロマンティック物理学vol.10

Writting / ヴィンセント博士 @VINCENT_R_P (Twitter)
これはいわゆるアインシュタイン以降の物理学ではない。というかそんなハイレベルな知識は必要ない。僕らはこの世界を五感によって認識あるいは観測していて、特に目に見えるものばかりを前提とした社会で、今日もウダウダ生きている。しかし、この世界や宇宙には目に見えないもののほうが圧倒的に多いのだ。重力だって、音楽だって、感情だってそうだろ?偉い学者の理論や数式はわからなくてもいい。ただ「目には見えないかそけきものたちが、確かに在る」という視点で、この現実を甘美に観測すること。-それが、「ロマンティック物理学」である。

第10回 みんなの宇宙脳。

脳がイメージした映像を可視化できる未来。

先日、とある脳科学のシンポジウムに行ってきた。最先端のニューロサイエンス系ベンチャーや著名な大学教授や研究員などが集まって、脳科学の現在地を語り合いながら未来を模索する…そんな難しいシンポジウム。そこでかなりおもしろい研究をしているK大のK教授の話が聞けたので、ちょっとだけ紹介したい。

その名も「脳情報デコーダインク」。脳が発している信号を解析し、そこから情報を出力するというものだ。例えば、理想の異性を想像してみよう。その異性のイメージは、今、君の脳の中だけにあるよね。その君の脳が妄想しているビジョンを、現実に映像化するということなんだ。コンピューターがOと1で様々な情報をコード化しているように、脳が何かのビジョンを描いている時の活動パターンにもコードがあると考えたK教授。ニンゲンの脳が、ある特定のビジョンを観た時の脳活動のパターンを人工知能に学習させることで、その人が今観ているものを脳から解読し、映像化することに成功しているのだ!もちろん、まだまだ解像度は低い。だが、ぼんやりとその形を再現出来ていた。分かりやすく言うと「念写」に成功しているのだ!そして、K教授の描いている未来は、「夢」を映像化することらしい…。昨日観た夢を録画して、モニターで観ることの出来る未来がやってくる…!!?あれ?待てよ…。確か、量子力学ではこの世界そのものが、観測者が「観た」瞬間に形が定まっているんだっだよね。そして、いくつもの並行宇宙があって、今この現実とは別のパラレルワールドが無数にあって…。ということは、僕らが今観ているこの世界はそもそもそこに在るものじゃなくて、脳からデコードされたビジョンなんじゃないのだろうか?…なんてことを考えてしまうではないか。

宇宙は脳がつくっている?

K教授のこの研究の本質は、脳から心の正体を探ろうとするものだと思うが、僕にとってはこの宇宙の正体を暴くもののように思えたんだ。だってそう思わない?脳でイメージしたものを映像化できるのならば、今観えている世界という映像は、もともと誰かのイメージでしかないんじゃないかって。

K教授の研究で、脳の電気信号からビジョンをデコード出来るように、この世界も無数のデコードされたビジョンの重ね合わせで出来ているとしたら…?もっとわかりやすく言うと、僕らニンゲンはプロジェクターみたいなもので…脳の中にあるイメージを投影したのがこの世界だったら?という仮説だ。

もしそうだとすると、ニンゲンの数だけ無数のイメージが重ね合わせに投影されているのが、この世界の正体だということになる。加えて脳は、無限にイメージを想像出来る装置でもある。だからこそ、この世界はより多様になり、宇宙はますます膨張しているのではないか?と思えてくる。ニンゲンの数だけイメージがあって、その重ね合わせの状態が世界だから、100%自分の思い通りに行かないってことは説明がつくと思うんだよね。

宇宙は誰かの脳なのか?
僕らの脳が宇宙なのか?

ここで、一つ脳と宇宙の類似性について触れておきたい。脳と宇宙はニンゲンにとっての“ウチ”と“ソト”であり、途方もなく深淵で未解明な存在でもあり、複雑なネットワークや多次元構造をしているという点でとても共通点が多い。実際に、物理的・数理的にも、その構造はとてもよく似ている。わずか数ミクロンの脳神経細胞のメカニズムと宇宙の基本構造は、ほぼ同じ形をしていたりする。
(下図)

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左はネズミの脳内神経細胞のネットワーク画像。右は宇宙生成のモデル画像。両者はミクロとマクロで、かなりよく似た構造を持っている。(出典元:New York Times)

 

この構造の類似性は脳神経や宇宙だけでなく、都市の交通網やインターネット、カビの生成パターンなど、あらゆるシステムがネットワークされるときには大体よく似た構造になる…それ自体は別に驚く事でも無いかもしれないね。少し物理をかじった学生なら、「エネルギーが合理的に作用したら、この形になるだけでしよ?」と思うだろう。しかし、よく考えてみれば、そのパターンを生み出しているエネルギーの、そもそもの根源が何なのかは誰もわからない。ひとつの銀河→ひとつの天体→ひとりの二ンゲンの脳→ひとつの細胞や電子→…全てが共通の法則の中で単位を変えながら、同じネットワーク構造を形成する。構造がよく似ているならば、もしかしたら宇宙は脳のような機能があるかもしれない。宇宙は、ニンゲンの脳のように考えて、想像しているのかも。だとすれば、それは誰の脳なんだろうか?もしかして、それを人々は神の意志と呼んでいるのかも!?

…“かも”な話ばっかりになって、イメージが膨らんでしまうと、宇宙はますます膨張していく一方だね(笑)。脳と宇宙の関係は、ニワトリと卵のようだ。僕らの脳のつくりだしたイメージを投影したのが宇宙なのか、はたまた、宇宙という脳が投影したイメージが僕らなのか…どっちなんだろう?僕としては、ニンゲンの脳を中心に捉えたい。だって、そのほうがもっと世界をロマンティックに変える可能性があるから。僕や君、みんながイメージしたビジョンの重ね合わせが世界なら、もうちょっと良く出来そうじゃないか。この世界、もとい宇宙とは、みんなの脳で出来ている。 2018年、みんなの宇宙脳が最高のビジョンを投影できまように!(Vincent)

HAPPY NEW YEAR,
HAPPY NEW VISION!!


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