SHIBUYA ARROW PROJECT

2017年8月未、遂に、その矢は射られた。

「一時退避場所」を指し示す→矢印をモチーフにした「命を救うアート」→渋谷の街へ→
3.11 私たちにできることは何か?
その問いかけから生まれたのが、この「命を救うアート」プロジェクトです。
私が Love&Peace の世代ということもあり、Rock n’ARROW と名付けました。
このプロジェクトの狙いは、参加したアーティストが継続的に創作活動ができ、しかも社会のインフラとしても機能するようなものでなければならない。
つまり、その矢(安全装置)を、心を揺さぶるアート作品へ昇華させることが出来れば、自ずと安全への意識は高まり、同時にアートへの関心も深まることで、社会生活に、ちょっぴり潤いを持たせることにもなるのではないか?あれから6年後の今夏、一度見失った矢が新たな目標を持って再び放たれました。これは、来夏30周年を迎える free paper dictionary 継続への最大のご褒美だと感慨一入です。
さて、この渋谷アロー計画は、五カ年計画で進めるそうです。
このアロー・プロジェクトが渋谷の未来を明るく照らす為にも、 free paper dictionary を続けていきます。
最後に、ハセベ ケン 渋谷区長に心よりの感謝を!

One More Arrow.

桑原茂→


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YOUICHI HIGASHIONNA
ARROW TREE

アローの木
東恩納祐一

図1 初期案、スケッチについて
設置場所も周囲の環境も不明な段階で最初に描いた妄想レベルのスケッチです。まず思い浮かんだ情景は、尋常でない事態が起きていることを暗示する、ブレながらも一方向を示す多数の矢印です。矢印は、避難先に急ぐ人々でもあり、数の多さは、イワシの群泳(集団で敵から身を守る)にヒントを得たアイデアです。
矢印の支持体ですが、渋谷駅周辺は緑が少なく、ここにさらに無機的な人工物を加えたくないという思いから、全体を(葉っぱのように矢印が茂る)樹木に見立てました。
この案のキーは、夜間大規模なブラックアウトを想定して、矢印自体を発光させることでした。“枝”に多数の小型ソーラーパネル、“幹”トップに風車(風力発電)、地表には床発電マットが描かれています。ソーラー発電はすでにポピュラーな技術ですが、今回特に、渋谷とも縁のある床発電―ベンチャーが開発、床上を人が歩くことで発電、かつて渋谷駅で実証実験が行われたーをぜひとも採用したいと思いました。
避難する人々自身が発電、矢印が発光、避難先を表示する!…、素晴らしいアイデアと思ったのですが、残念ながら、上記一連の発電システムについては、経費、現在の技術レベル、耐久性/メンテナンスのいずれの点からも課題が多く、やむなく断念せざるを得ませんでした。というわけで、このスケッチがそのまま実現することはありませんでしたが、最初に思い浮ぶ“妄想“には愛着が、非現実ゆえの魅力があります。“樹木”については、初期案を継承、実現することができ、嬉しく/幸運に思っています。

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図2(最終模型、シミュレーション・イメージ)
“多数の矢印が茂る樹木”という案をベースに、思考を妄想から現実レベルへとシフト、さまざまに形状を変化させた20余の樹木模型を制作(周囲の植え込み、通行人も再現)、360度からの見え方を検討しました。
図2は、最終案(模型)を設営場所の風景に合成したイメージです。安全性・耐久性など現実レベルのさまざま課題をクリヤしてゆく作業は根気と忍耐を伴いますが、反面、妄想が現実となってゆく過程には期待と不安がないまぜとなったワクワク感があります。
初期妄想案と比較すると樹木もシンプルにデザイン化され、右側一番下の長い枝はソレ自体矢印としても機能します。また、幹トップにあって、クチバシが避難先を示す黒いトリは、自然災害を予知すると言われる鳥/動物のアイコンとして、私たちを見守ると同時に、デザイン的に樹木の三角形シルエットを引き締め/強調します。
最後に、この“アローの木”が、非常時における実際的な機能だけでなく、一時のやすらぎ、ユーモアをもたらすモノでもあることを願っています。(その仕掛けもあるので、ぜひ、現場でご覧になってください)

アローの木 東恩納祐一 最終イメージ

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現代アートと公共(芸術)のマリアージュ(?!)
主に、ギャラリーや美術館で展示される現代アートと、今回のアロープロジェクトのように、目的・公共性を担うことが求められるパブリックアート、この2つは互いに相容れない対立するモノなのでしょうか?
現代アートの馴染みにくさは、従来的なモノの見方に“?”を提示する、評価が未確定の現在進行形だから、だと思います。が、そのベースにある関心が現代のすべてのイシュー(例えば、ジェンダー、環境、資本主義、eyc.…)にあるとすれば、必ずしも2つのアートが対立するとも思えません。と、ここで思い当たるのは、このテーマが、かつて言われた対立:ファインアートとコマーシャルアート、現代音楽/クラシックとポピュラー音楽、(ドメスティックには芥川賞と直木賞)etc.…の変奏のようにも思えることです。
これら2つを対立させる議論は、生産的とは思えず、むしろ、ここは、メトロポリンタンミュージアムでのコムデギャルソンの展示、20世紀日本を代表する現代音楽の作曲家が、世界的ポピュラリティーを獲得している映画音楽(“ゴジラ”)の作者であることに思いを馳せ、勇気をもらうこと、喝采を叫ぶことではないでしょうか。

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ENLIGHTENMENT
TUBE ARROW

渋谷アロープロジェクト
ヒロ杉山 / エンライトメント

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渋谷区が世界にも類を見ない画期的な試みをスタートした、渋谷アロープロジェクト。災害時の一時避難場所の方角を示す「矢印」をアーティストに制作を依頼し渋谷の街中に設置するという。パブリックアートと一時避難場所への誘導のための標識との、二つの役割を果たす。命を救うアロープロジェクトの発案者、桑原茂一さんよりエンライトメントに光栄にも声がかかった。我々エンライトメントに課せられた課題は、渋谷の街の雑踏の中で、作品が埋もれてしまわない事、存在感を発揮して見る者の心に記憶として残る作品を作る事。そして方向を明確に示す事であった。

「矢印」を作品にするにあたって、はじめはとにかく目立つもの、渋谷の街の中に現れて違和感のあるものを作るうと我々はアイデアを考えていった。そのうち考えだす作品はどんどん矢印から遠くはなれていく事になってしまった。矢印をデフォルメしすぎて方角を見る側に認識させる事ができなければ、このプロジェクトの大きな役割を果たせなくなる。これはアーティストのコンセプトを全快に押し出したパブリックアートとは、ある意味考え方が違うものであるのではないかと思考の方向転換を行った。[矢印]本来の持つ記号としてのフォルムに立返る事にした。そしてどこまでデフォルメが可能なのか?どのラインを超えてしまうと矢印としての認識を失ってしまうかを探っていった。

渋谷アロープロジェクトの為に描かれたラフ案

巨大な鏡を壁に斜めに設置。通行人が映るようになっている。

正方形のパネルが音と共に発行する。下から上への流れを感じるパターンで発行する。

壁に鼻の立体物を設置する。

一本の金属の棒が地面に通っている

有機的な立体物に、色々な色のライトが当たっている

蓄光塗料、もしくはブラックライトで夜は矢印が浮き出る立体物。

カラフルなストライプの矢印が壁から発掘されたような立体物。

壁から抜き出たような三角形がゆっくりと色を変えながら発行している。

矢印が布に覆われている立体物をメタル調の彫刻で再現する。

いくつもの板が無造作に設置してある案。あるひとつの方向からみると、それらが重なり矢印に見える。

電光掲示板を組み合わせて巨大な電工装置を作る。下から上に流れる模様などを表示し、矢印の方向を示す。

ネオンで文字を作成。それらが矢印型になっている。

入り組みながらも一定方向へ進むチューブは、災害時に多くの人々が一時避難所へ避難する様子を表現している。CGによる光沢のある質感とマットな質感を組み合わせ街中に設置された時の違和感を作り出す事にした。次にホップな色彩を組み合わせ、防災という一見ネガティブになりがちなイメージから脱却していった。今後、この「矢印」だけが一人歩きしTシャツやトートバッグ、グッズ等に展開していき街中に大小さまざまな媒体にプリントされたこの作品が出現し、人々の意識に「矢印」が浸透していく事を想定した。そのためにファッション性も重視した。所々半立体のレリーフ状の構造になっているため、近くで見たときと離れて見た時では見え方の違いにより不思議な効果をもたらす。全長12メートル、渋谷区の管理するビルの4階部分に設置されている。遠くから見てもその存在感は圧巻であるし、矢印が示す方角は一目瞭然である。

最終候補案
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はじめはこの渋谷の街中に出現した「矢印アート作品」が、何のためのものか?どんな意味かおるのか?解らないかもしれないが、次第にこのプロジェクトが話題になりその「矢印」が示す方角の意味の重大さが、人々に浸透していくてあろう。矢印という記号は、全世界共通で一つの方向を見る側に認識させる働きがあるはずである。日本に来ている外国人の方にもその方角を示す意味は間違いなく共通認識できる。海外で出版される日本の旅行ガイドブック等にアロープロジェクトの記事が掲載されその矢印が示す方向の意味を理解していたら日本に来た外国人旅行客にも災害時に大きな役に立つ。このプロジェクトが渋谷区から始まり東京都23区へ広がり日本全国へ、全世界へと広がっていったらどんなに素晴らしい事か。

「命を救う矢印」素晴らしい。

渋谷アロープロジェクト ヒロ杉山 / エンライトメント 最終イメージ

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渋谷区長

KEN HASEBE

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私がどうしても実現したかった
「シブヤ・アロープロジェクト」が始まりました。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、今後、さらに増えることが予想される外国人を含めた多くの来街者(在勤・在学者を含む区民以外の渋谷区を訪れる方々)の方への帰宅困難者対策が、渋谷区の喫緊の課題となっています。

区内の小学校や公園等は「一時集合場所」であり、一時的に様子を見る場所となっていますが、区民と来街者が利用するには十分なスペースではありません。そこで、特に渋谷駅周辺では発災時に、来街者の方が一時的に退避する安全な場所として、避難場所などを「一時退避場所」として定めることとしました。

これは一時退避という新しい考え方であり、来街者の方には、帰宅困難者支援(受入)施設が開設されるまでの間、安全に留まれる、この[一時退避場所]※1を知っていただく必要があります。そこで、一時退避場所を指す「矢印・サイン」が必要と考えました。しかし、本区の場合、画一的なサインを設置しても街の中に埋もれてしまいます。

それらの課題を一気に解決できないだろうか?よりシブヤらしくクリエイティブに解決するには?と考え、導き出した答えが、「矢印・サインをアート化し、来街者の方々の意識に残るようにすること」でした。

今年、区が共催し「シブヤ・アロープロジェクト実行委員会」が立ち上がりました。実行委員会は、渋谷区商店会連合会を始め、様々な組織の方に入っていただき協力をいただいています。

また、サインをアート化するにあたり、外部のクリエイターの力が必要だと考えました。「桑原茂→」さんが主催した“Rock n’ARROW”project※2に思いあたり、実行委員会でディレクターをお願いし、アーティストの選定やアートの選考等にご協力いただいています。

現在、このプロジェクトは着々と進んでいますが、スタートしたばかりですので、これから来街者の方に認識してもらえるように進めていきます。今後5年程度の時間をかけ、区内に多くの「矢印・サイン」を設置し、来街者の方々に知っていただけるようにしていきたいと考えています。知っていただくことが、もしもの時に、必ず役に立つと信じています。区内に[矢印・サイン]が増えていけば、[シブヤ=矢印]と認識されることで、[矢印・サイン]をモチーフとした「お土産」が生まれてきたりすることにも大いに期待しています。

渋谷区長 長谷部健

※1一時退避場所とは
「渋谷駅周辺地域都市再生安全確保計画」で、発災時の渋谷駅周辺の混乱を防止するため、来街者を中心とした帰宅困難者を[一時退避場所]へ誘導する「避難誘導計画」を策定。発災時に、一時的に退避する安全な場所として広域避難場所などを「一時退避場所」として定めた。
一時退避場所:代々木競技場屋外敷地、明治神宮【渋谷駅周辺地域都市再生安全確保計画から】

※2“Rock n’ARROW”projectとは
桑原茂一氏率いるCLUBKING主催。ジャンルを超えたアーティスト達による命を救う矢印(Rock n’ARROW)をTシャツで表現。災害時の矢印(避難誘導サイン)をブランディングする総勢61名が参加した寄付を目的としたアートプロジェクト。売上の一部は、アーティスト自身が自ら考え、選出した団体へ寄付される。


Rock n’Arrow Gallery

過去のRock n’ARROW”projectに参加したアーティストの作品紹介

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信藤三雄

photo居山浩二
photoRYAN CHAN
photo河原光
photoMADSAKI
photo尾関幹人
photo酒井景都
photohi-dutch
photo笠井爾示
photoroar
photobigboys
photopoemers
photoホンマタカシ
photopucchi
photo安田寿之
photostan_ao
photo米原康正
photokim_songhe
photo沼田元気
photoFreePets
photo田島一成
photoles_romanesques
photosalotezumo
photoprogressiveform
photoしりあがり寿
2今村圭佑
3平社直樹
4藤元明
photo若木信吾
photo久山 宗成 a.k.a ドナルド
photodevilrobots
photo新田桂一
photodj_maar
photo徳井直生
photochimpom
photo谷田一郎
photoenlightenment
photo石浦克(TGB.design)
photo綾小路翔
photoリリー・フランキー
photo伊藤陽一郎
photo井上嗣也
photo桑原茂一
photo小田島等
photo上出恵悟
photo鈴木シゲル
photo安斎肇
photoD[di:]
photo大日本タイポ組合
photoKANTA
photo夢一平
photo小林昭
photoハービー山口
photo伊藤桂司
photo珍しいキノコ舞踊団
photo金剛地剛志
photoミックイタヤ
photo柳家三三
photo千原徹也
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photo福井五大
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photo永井祐介
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