デ ザ イ ン 革 命
デザインやらない人宣言。それがデザイン革命!隣近所デザインベスト5緊急発表!
松本弦人- Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/松本弦人
ヒロ杉山(Enlightenment) elm-art.com/
谷田一郎jjd.co.jp/
白根ゆたんぽ(YUROOM) yuroom.jp/
藤本康生(TEE PARTY )teeparty.jp/products/list.php?mode=search&artist_id=125
何でデザインなのか?どうしてデザインという仕事を始めたのか?
僕はグラフィックデザイナーだから。
松本弦人 僕はグラフィックデザイナーだから。0.1 ミリのニュアンスや級数の量とか、ある程度誰かに教わったりしないと解からなくて、他のデザイナーが使ってる文字がかっこいいと思ったら計ってみたり。書体がEG-KS とEG-KL(fig.1&2)で随分違ったり、とにかく職人の世界で色々みんな秘技を持ってる。そういう事を全然知らずに大学生がマックで勝手にチラシ作って「夏だ。~だ!カッチョイイ!」みたいのって好き。ワープロレベルの物があって、亀倉雄策がやったようなデザインがあって、また別に中間的なものとして新しい意味がある。クラブのチラシは代表的な例だと思う。「写植指定ができないからダメ」とか「書体の事何も解かってない」って事は関係ない。「そんなに難しく言わなくても、そのぶん別のマシな話しろよ」みたいな方がかっこいい。
編集部 自分達でクラブのチラシ作ったりしてデザインに近づいている人達がいると思うんですけど。
松本 今までと違う所からドンドン来る。特に女の子とか、きのこ狩りの案内とか作るの好きじゃないですか(笑)。「きのこ狩りみんなで行きましょう、会期~日」きのこの絵がポーンって。凄くいいんですよ。ちゃんとメッセージ伝わって行きたい気になる。一番大事な事で、それが高じればグラフィックデザイナーになって、だから、みんなデザイナーですよね。イラストレーターがデザインやるのは今さら特別でなくて、これ(近芸のポストカードfig.3) がグラフィックデザインだったりする訳だから。
逆に僕にとって価値ある人しかイラストレーターでなくて、へたに頼むより自分で描いた方がいい。僕に絶対描けない物や表現として僕ができない物を持ってる人だけが僕にとってのイラストレーターで、カメラマンで、コピーライターであって。それはみんな思ってると思う。デザインもいっしょで編集者でもデザイン出来るけど、出来ない表現を持ってる人には発注する。本当は編集者の方が何を伝えたいか解かっててデザイナーにそれを伝える方が難しいから自分で出来るのが一番いいんだよ。
最近デザインつまんなくなった…
近代芸術集団(谷田一郎) 2年か3年くらい前までデザインに賭けてたけど、最近デザインつまんなくなったんだよね(笑)。きっかけは、変な人形が売っててそれが凄くて今は手で作った物(fig.4)に心が動く。
松本 手作りって贅沢ですよね。
近芸(ヒロ杉山) M.O.P(fig.5)の表紙をマックでなく手作りでだったら、大変な労力ですものね。
松本 僕が本当にハマッてるのはフォントってメデ ィアで。誰もが、アルファベットを認識していて、それでいてメッセージ性がある。おまけに、デジタルフォントはマック持ってさえいれば使える。僕が死んでもマックにはデータが残ってる訳で、おまけに、デジタルフォントは何年かかって作ったか知らないヘルベチカとかと10 分くらいで作った自分のフォントがとりあえず等格で並んでる訳じゃないですか。フォントをピッと引っ張ればヘルベチカの後がサルモンキーとか。
編集部 近芸はまったく共作ですか?
近芸(谷田) 前は二人だと一人より作品をドライに見れるのが一番いいと思ってたけど全然グッとしたものが来ないんですよ。だから最近は思い込みのある方が手を出してる。結局醒めた表現は、ある程度かっこよく見えるだけ。
松本 醒めた表現って?
近芸(杉山) 客観的で思い入れが少ないもので、今はもっとハマんなきゃと思ってる。逆に転ぶとどうしょうもないけど、ハマッて凄いの出来た時のインパクトや他人に与える感動は大きいって思ってるんです。
松本 「これ16 人くらい解かるかな」とかいう感じ(笑)。
近芸(杉山) でもグラフィックデザインはそれ駄目でしょ。
松本 広告はね。僕の仕事の基本はそれですから。それ言いだすと僕らアーティストにかなわないんですよ。原弘の「僕らのやってる事はあくまで受注産業だけど結果としてそれがアートになりうる場合がほんの少しだけある」って言葉で若い頃救われたんだけど、最近は別にアートである必要はないし印刷物としての何かが出てればいいと思う。
近芸(谷田) 下手なアートだったらいいグラフィックの方が百倍面白い。
近芸(杉山) 最近思ったのは、広告が邪悪な物だと(笑)。
松本 邪悪なものですよ、最初から。
近芸(谷田) 僕らが生まれた頃は、高度成長の時で物を買わせて捨てさせてで、結局2 ~ 30 年たって今こんな風になったでしょ。それの手助けをしてるのが広告だったと思うんです。
松本 それを言いだしたらアーティストになるしかないですね。
近芸(谷田) それ考えてたら、人間がそもそも邪悪なものじゃないか?ってどんどん話が大きくなって、どうも生きてる事自体が…(笑)
近芸(杉山) 広告はいかにいいものに見せるか。嘘の塗り重ねみたいな感じがする。
松本 間違いなく目的はそれ。だけど今の人達はそんな事解かって見てる。
動機が不純なんだけど。
スパーク(白根ゆたんぽ) 僕達の世代が二人で組むのは杉山さん達と微妙に違って動機が不純なんだけど。学生の頃から工作クラブや近芸は面白そうだから「ごっこ」をしたいというのがあって、純粋にクリエイティブのためとは違う。僕らはグラフィック展とかの影響を凄く受けた世代で、デザインも興味あるけどそんなに一生懸命勉強もしなくて、絵を描いて適当に旨くいけばと思ってる人が凄く多いんです。だから僕はデザインも全然やらなかったし、マックは藤本君に教えてもらって。でもマッキントッシュでは二人で作ってる過程を楽しんでるだけで、作品自体は絵描いてる時の方が面白いんです。スパークもCG で作品を作るために組んだのではなくて、仕事でこうなったんで壊していかないと自分達がきつくなるんですけどね。物作る事は好きだから楽しいけど、結構課題をいっぱい抱えたユニットなんです。
スパーク(藤本康生) 僕も最初谷口広樹さんの所で、谷田さんの下についてたんですが、やはりグラフィック展があって絵を描いていてデザインも覚えてみたいって事だった。って「普通の仕事よりは面白そうで特別な仕事につきたい」人や音楽の方が好きだけどグラフィックの専門学校行ってる人達が凄く多い。結局卒業すると続きそうもないし、貧乏になるのが見えてるからとりあえずグラフィック事務所に行く人が多い。願わくば他の職業につきたい人いるんじゃないかな。
サンプリングは印象派だった!?
編集部 サンプリングはデザインの中で欠かせないと思いますが、過去のデザインの部分的消化をどう考えてますか?
松本 サンプリングは 基本的に欠かせない。サンプリングは品性の問題だと思う。
編集部 スパークも取り込みスタイルですよね?
スパーク(白根) 僕らは好きなことやってます。ゴメス(fig.6) の表紙の場合、もしミッキーの顔がでたら絶対問題になるから、どうごまかすかで精一杯でそこまでいかない。
松本 サンプリングやシュミレーションは今の時代、当たり前。海があって山があってそのなかで印象派が生まれた。今は、風景の中にミッキーがいたりして、それを見るほうが多かったりする。だから、山を描くようなつもりでミッキーを描く感覚ってあると思うんです。音楽にしてもそうだし、それがただキャラクターだったり、缶詰だったりするんです。
編集部 近芸は?
近芸(谷田) アートは、何をやっても構わないんですよ。
グラフィックデザインの未来・・・
松本 グラフィック自体に興味が無くなった頃の感覚っていうのは、グラフィックの為のグラフィックに全然興味がなくなってただの仕事って感じだった。メディア作っている時がそうなんだけど、それは音楽でもいいし、ハイテクでもいいし、シュミレーションのアイデアみたいなものでもいいし、何でもいいけど、何かの意味や方向づけやメッセージがグラフィックとして形にあらわれるものでないと、興味が持てない。もの全体がそういう方向になっていくと思うしもうそういったことの方が大事なんじゃない。
編集部 スパークさんは?
スパーク(白根) 対談してて解かったんだけど、僕ら結構考え浅いって…。最近ちょっと流され気味というんじゃないけど、マックやってるから余計惰性で作品できたりするんで、気を付けていいもの作りたいって思いますね。
スパーク(藤本) やっぱ、いいものを作りたい。そこに帰っちゃいますね(笑)。
スパーク(白根) なんかいい人たちの対談みたいだなぁ(笑)。前はもっと公の場で、ある種のポジション持って発信するのが面白いと思ってたのが、最近はマイナーになっても個人の面白さを見てもらいたいって思う時がありますね。またすぐ変わるかもしれないけど。
近芸(谷田) グラフィックデザインがつまんなくなった。職業としてのグラフィックデザインは当然必要なんですけど…。グラフィックデザインやってる人って忙しすぎるから。TYCOON は今そうだと思うんだけど。朝から晩までデザインのこと考えてますよ。コックさんでもグラフィックデザイナーでも一緒なんですけど、本当はもっと考えなきゃならないことがあって、なかなか切り替えって出来ないじゃないですか。僕なんか全然わかんないけど、なんかあるような気がするんですよ。別にエコロジ一がどうのなんて言うつもりは全然無いんだけど。
近芸(杉山) グラフィックデザインって今、大きく括られてるけど、僕個人としては特に広告に今興味が無くて、ADC とか昔は「カッコイイね。」って見てたのが、新しいのが出てもパラパラ見る位。凄くカッコよくてキレイだけど、そこから先が無い。でも、海外のアーティストの作品集の装丁とか表紙だけで欲しくなるものあるし、それがグラフィックデザインだと思う。
編集部 自分のデザインに関するビジョンはありますか?
近芸(杉山) 近芸でやってる自分達の作品集やダイレクト・メールは“デザインをしないデザイン” というのをずっとやってきてる、でも今は他人に頼もうかってことになってきてる。
スパーク デザインやらない人宣言!それがデザイン革命!(笑)
(進行・構成 服部全宏)
注釈
①EG-KL:書体。 ②EG-KS:書体。 ③M.O.P:フロッピー内にマッキントッシュ対応のデータエンターテイメント(映像、書体、ハイパーカードのスタックを含む)を使えて楽しめるフロッピー+ペーパー。発行オブスキュア・インク。④フォント:書体のこと。マッキントッシュ上ではオリジナルの書体を簡易に作れる環境が存在する。 ⑤ヘルべチカ:書体の名前。 ⑥サルモンキー:書体の名前。M.O.P のフロッピーに入っている松本弦人氏のマッキントッシュ用オリジナル書体。 ⑦原弘:日本のタイポグラフィーの草分け的存在。「活版術」という言葉でタイポグラフィについての論文を残す。活字と罫線でのデザインを展開した。 ⑧谷口広樹:イラストレーター。日本グラフィック展大賞。 ⑨工作クラブ:東京工作クラブの略。前田さゆり、久保木智子による広告、エディトリアル、コマーシャル等のイラストレーション、舞台美術、インテリアデザイン等をてがけるユニット。⑩ゴメス:PARCO より発行されている月刊フリーペーパー。 ⑪TYCOONGRAPHICS:今、最も忙しいい売れっこグラフィックデザインガイズ。Dictionary31 号登場。 ⑫ADC :Art Directers Club. 1959 年、NY のADC に刺激されて結成。’57 より毎年年鑑を発表。ここではADC 年鑑のこと。
松本弦人ベスト5
1. 亀倉雄策
日本の三本の指に入る巨匠、代表作-東京オリンピック、明治チョコレート等。最終的に僕のやりたい仕事ってそういう事だから。例えば国旗のデザインとかを白地に赤のこのバランスでいいのかという事になった時、サルブルネイに依頼が来たりするのが理想。無理か。
2.タイガー立石
デザイナーではないが凄く好きなので。漫画家・現在アーティスト。
3. ディック・ブルーナー
ウサちゃんのではなく、くまを使ったポスター等の初期のグラフィックデザイナーの頃の作品。
4. 細谷巌
細谷ゲン氏の父。代表作-味の素、キューピー。僕がグラフィックデザイナーになろうと思ってた時、好きな作品がほとんど彼の作品だった。
5. Adobe社
今マック使ってデザインしてる人って、Adobe のデザイン学校でデザインの勉強してる状態に近いと思う。今作っている物って結局Adobe のアプリケーションがなければ絶対できない。そういうシステムのなかでやってるというよりやらされてる感覚がある。Adobe のアプリケーション自身がインターフェイスとしてよくできてるからそれ自体がすでに一人のデザイナー。
近代芸術集団ベスト5
1. 横尾忠則
デザイナー時代、とにかく凄いの一言。
2. バウハウス関係
3. Tycoon graphics
今、ノリにノッてるところで、これからに期待したい。
4. 仲條正義
限りなく手書きで筆ペンとかでロゴを作っちゃう人。あそこまで自分をデザインで出せる人は凄い。
5. 葛西薫
ggg ~銀座グラフィックギャラリーの個展を見て、その作品の緊張感に感動しました。
6. 大貫卓也
代表作-としまえん、カップヌードル等。インパクトの強さとアイデアのおもしろさ。伝えたい事が明快である。
7. Fabian Baron
代表作-少し前のINTERVIEW 誌等、写真のアートディレクションが絶品。
スパークベスト5
(好きなものというよりはスパーク自身を形成してるであろうベスト5)
1. フラミンゴスタジオ
湯村輝彦主宰・僕らの世代には大きなブランド。いやがおうにも興味を示してしまう。
2. コガネ虫スタジオ
スージー甘金主宰・シンプルで強くって簡単なんだけど人の強さがでてる。
3. 近代芸術集団
スパーク発足の素。近芸の印刷物がデザインの先生。この3 つが大きな3 本柱
4. サーフィン雑誌まわり
体育会系かつ、無反省なビジュアル。特に広告。
5. ロボコップ3 にでてきた日本人ロボ・オオトモのビジュアル
オオトモの視野のビジュアルが、マトリックス上にカタカナがはいって来たりでガーンときた。
CKWS 売り上げベスト10
といったところで唐突ですが”Tシャツはメディアだ” と提唱し自由な表現の場を提供するクラブキングワードローブセクションの売り上げベストテン行きます。最近動物園化しているワードローブです(ナント! 1・2・3・4・7・8・9が動物ネタのプリント)。皆さんキャラクターもの好きですねー。SPECIAL THANX 江口洋介なんですけど、ニセモノが出まわっているので気を付けましょう。本物は文字部分が”NOUVEAU HIPPYTEDDY BEAR BY TYCOON” です。あと最近CGものでいいデザインが沢山あるのでチェックしてみて下さい。
T-SHIRTS AS MEDIA WHAT’S GOING ON
1.BACK TO THE N ATURE 中西俊夫
2.BAMBI 下條ユリ
3.COMPUTA BEAR 伊藤ガビン
4.SPARK S PARK SPARK
5.SEXPISTOLS 中西俊夫
6.NOW PRINTING C KWS
7.AMBIENT BEAR 中西俊夫
8.FUNNY MOUTH 松本弦人
9.ONE POINT BEAR 中西俊夫
10.SISTER MIDNIGHT 小町ワタル