アート ブックの出会いかた
私たちがこれまでに出会った、自分にとって無くてはならないアートブックを紹介します。
アートブックは、装丁やレイアウト、紙質やインクにいたるまで、アーティストの描く世界観を指先から感じとるためのこだわりがつまっています。思わず触ってみたくなる、どうしても自分の本棚に置きたくなる、そんな一冊を本屋さんで見つけてみてください。
アートブックは、装丁やレイアウト、紙質やインクにいたるまで、アーティストの描く世界観を指先から感じとるためのこだわりがつまっています。思わず触ってみたくなる、どうしても自分の本棚に置きたくなる、そんな一冊を本屋さんで見つけてみてください。
『関係する|Interact』
著者:冨井大裕
定価:6,500円(税別)
発行:Rondade
著者:冨井大裕
定価:6,500円(税別)
発行:Rondade
今回ご紹介するのは、現代美術家・冨井大裕(とみいもとひろ)さんの作品集。活動初期から2016年までの作品を収録した充実のモノグラフです。
冨井大裕さんの作品には、文房具や日用品など普段私たちがなにげなく目にしている既成品が使われています。それらを組み合わせ配置することで、モノ本来の役割から離れた見方が提示されます。例えば、ねじられた付せん紙、絡まったストロー、壁一面に押された画びょう、など。見慣れたものに違和感を投じるユーモアと、既成品ならではの人工的なカラフルさが、冨井さんの作品を特徴づけています。
そして、そんな冨井作品が収められているのはなんと無印良品のバインダー。この中に、2穴のパンチと様々なタイプのリフィルを使いながらページが綴じられていきます。本書では、それぞれの作品が作られた場所、年代、コンセプトから引き離されて、形や色だけで緩やかなつながりを見出すように並べられています。大きさや形状の異なるページを自在に組み合わせながら、「形と色」というエッセンスを引き出すかたちで、本の中で冨井作品の再構成が試みられています。
ぼくがアートブックとして好きなのは、内容(作品)に対して本のデザインに必然性があるもの。そういう本には収録された作品とは別のレベルで、本としての価値を強く見出すことができます。まさにこの作品集を見たときには、やられた!と思いました。冨井さんらしい既成品を使った造本のアイデアは、内容とデザインを見事に共鳴させていて、この一冊をとても創造性のあふれたものにしています。
それからもうひとつ、紙ならではの経験ができるのもよいアートブックといえるでしょう。
それからもうひとつ、紙ならではの経験ができるのもよいアートブックといえるでしょう。
たまたまこの本を作っている現場を見る機会がありました。スタッフの方が、本当にひとつひとつ手作業で図版をカットしてリフィルに差し込むということをしているんですね。大変な労作です。そしてその本を作る過程はできあがったものからもしっかりと伝わってきます。一般的な本と違い、ページが着脱可能だということもあるでしょうか、手に取る人が本を作る感覚を共有できる気がします。このような、紙の本だからこそ感じられる作り手の気配は、本をより一層大切なものとしてくれます。
渡辺淳 代官山 蔦屋書店 アートコンシェルジュ
美学・美術史、服飾などを学んだ後、大型美術館のミュージアムショップで書籍の選定、調達を担当。2014 年2 月より代官山 蔦屋書店に勤務。アートに関わるあらゆる分野を関心領域としながら、コンシェルジュ業務に取り組んでいる
美学・美術史、服飾などを学んだ後、大型美術館のミュージアムショップで書籍の選定、調達を担当。2014 年2 月より代官山 蔦屋書店に勤務。アートに関わるあらゆる分野を関心領域としながら、コンシェルジュ業務に取り組んでいる
『Sweet nothing』
著者:いとうひでみ
定価:1,000円(税別)
発行:セルフパブリッシング
著者:いとうひでみ
定価:1,000円(税別)
発行:セルフパブリッシング
彼女のギャラリーを見に行った時、絵から飛び出て来たような女の子がいた。
インスタグラムで会社の先輩が投稿していた画像にいっきに引き込まれ、すぐにギャラリーに行った。
あまりフットワークの軽い方ではないがすぐに見たいと思った。
絵から飛び出て来たような女の子が、アーティストのいとうひでみさんだった。
彼女の書くものはとても独特で、オカルトっぽくもあり、POPで懐かしくなる不思議なものだった。それは、思春期の女の子の危うい時期のようであった。
彼女はもう学生でも思春期でもないが、ピュアでちょっとまだ危うい感じがとても絵とマッチしていた。女の子の理解を得られるものかと思っていたら、一緒に行った男2人が私より食い入るように見ていた。
男性は、思春期の女の子より繊細でピュアなのかもしれない。
彼女は、イベントなどでオーラ似顔絵というものもやっていてそれがとても面白い。
まだ機会がなくてやってもらってはいないが、是非今度ある時はやってもらいたい。
彼女の作品のような、どこかでちょっと自分と接点のあるような作品は理解しやすいものではないかと思った。作品集は今3冊、自費出版で出しており、デザインもとても凝っているので是非手に取って欲しい。
グッズも、パンツや鏡など、一風変わったものが多いのも特徴。
どうか彼女には、このまま危ういピュアな占い師のようでいて欲しいと強く願う。
あまりフットワークの軽い方ではないがすぐに見たいと思った。
絵から飛び出て来たような女の子が、アーティストのいとうひでみさんだった。
彼女の書くものはとても独特で、オカルトっぽくもあり、POPで懐かしくなる不思議なものだった。それは、思春期の女の子の危うい時期のようであった。
彼女はもう学生でも思春期でもないが、ピュアでちょっとまだ危うい感じがとても絵とマッチしていた。女の子の理解を得られるものかと思っていたら、一緒に行った男2人が私より食い入るように見ていた。
男性は、思春期の女の子より繊細でピュアなのかもしれない。
彼女は、イベントなどでオーラ似顔絵というものもやっていてそれがとても面白い。
まだ機会がなくてやってもらってはいないが、是非今度ある時はやってもらいたい。
彼女の作品のような、どこかでちょっと自分と接点のあるような作品は理解しやすいものではないかと思った。作品集は今3冊、自費出版で出しており、デザインもとても凝っているので是非手に取って欲しい。
グッズも、パンツや鏡など、一風変わったものが多いのも特徴。
どうか彼女には、このまま危ういピュアな占い師のようでいて欲しいと強く願う。
『class X』
定価:1,000円(税別)
Beautiful Dreamer
定価:800円(税別)
著者:いとうひでみ
発行:セルフパブリッシング
定価:1,000円(税別)
Beautiful Dreamer
定価:800円(税別)
著者:いとうひでみ
発行:セルフパブリッシング
江川賀奈予 代官山 蔦屋書店 アートコンシェルジュ
都内大型書店を経て、代官山 蔦屋書店のコンシェルジュとしてアート・ファッション分野を担当。さまざまな企画・展示に携わる。ここにしかないものを探して、日々の仕入れに努めている。
都内大型書店を経て、代官山 蔦屋書店のコンシェルジュとしてアート・ファッション分野を担当。さまざまな企画・展示に携わる。ここにしかないものを探して、日々の仕入れに努めている。