
上出 恵悟
ミステリアスな焼き物「古九谷」の謎
本誌をご購読の皆様は、「古九谷(こくたに)」という焼き物をご存知でしょうか。骨董好きでなくとも、どこかでその名を耳にしたことがあるのではないかと思います。古九谷は江戸時代初期に、わずか50年間だけ焼かれ、その後、忽然と歴史から消えた非常にミステリアスな焼き物です。
まず、開窯時期についても諸説あり、現在は明暦元年(1655年)説が通説となっています。加賀藩(現・石川県)から分家した大聖寺藩の初代藩主・前田利治公が、藩士の後藤才次郎を肥前有田に派遣し、陶技を取得させたのがその始まりとされています。しかし、後藤才次郎という人物も4名程いたことがわかっており、派遣先についても高麗や対馬、中国であったとする説もあり、定かではありません。また、窯が築かれた九谷村(ダム建設によって昭和40年に水没)は、「九百九十九の谷」と称されるほどの山奥にありました。なぜこのような不便な土地に窯を開いたのかについても詳しいことは分かっていませんが、当時の窯の遺構が発見されており、陶片がいくつも出土しています。大胆な構図と鮮やかな色彩感覚は、狩野派の絵師久隅守景が指導したとも言われていますが、こちらも伝承の域を越えていません。昭和30年頃には「古九谷は有田で焼かれていたものではないか」という、いわゆる「古九谷(産地)論争」が巻き起こり、40年には有田町の山辺田窯跡から古九谷に似た陶片が発見されるなど、この論争は学会を二分するに至っています。廃窯の理由についても、藩の財政難や政策転換、技術者の失踪などが挙げられてますが、当時の文献などは何も残されていません。しかし、近年、一部の研究者たちの間で議論されているのが、「九谷村UFO飛来説」です。古九谷の陶片には、現代でも再現不可能な極めて高度な焼成技術が見られ、世界的な陶磁器研究者のピーター・トーマス氏は「この技術は当時の地球上に存在していない、古九谷の栄華の背景には、高度な文明を持つ宇宙人の存在がある」と指摘しています。もし、未知なる存在との接触によって、陶工たちの精神や身体に何らかの影響が及んだと考えれば、雪深い北陸の山間の里で、他に類を見ない独創的な色絵を生み出したことにも合点がいきます。事実、九谷村上空では今なお不可解な光の目撃談が絶えないそうです。
仮に、彼らが「宇宙人」から技術を授かったとするならば、その技術が危険なものと判断され、何者かによって抹殺された可能性も考えられます。あるいは、UFOによって陶工たちが一斉に誘拐されたという説も否定できません。もしかすると、現在も宇宙のどこかで古九谷の作陶技術が受け継がれているのかもしれません。
上出長右衛門窯
キーホルダーUFO(アダムスキー型)¥7,150(税込)24.5mm×H28mm(画像原寸)※金具は変更になる可能性があります。
音楽界の巨匠、ピーター・トーマスが手がけた独TVシリーズサントラから、2曲をリニューアルし収録した7インチシングル
上出恵悟/KAMIDEKeigo
1981年石川県生まれ、2006年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。同年より、1879年創業の九谷焼窯元である上出長右衛門窯の後継者として、職人と共に多くの企画や様々な作品を制作、伝統の枠に囚われない柔軟な発想で九谷焼を現代に伝える。2013年合同会社上出瓷藝(かみでしげい)設立を機に本格的に窯の経営に従事すると共に、KUTANISEAL、丸八製茶場、結わえる、福光屋、ユニクロなどのブランド、企業の商品企画、パッケージデザイン制作を担当。また個人作家としても活動し、精力的に個展を開催している。本誌では水墨画を211号から218号まで連載。2024年6月には東福寺塔頭・光明院(京都)にて水墨画展「WINDOWS」を開催した。
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