LIQUID

Junji murakami/LIQUID

青い空、青い海。

沖縄の代名詞ともいえるビーチリゾート感に全く興味がない、といったらウソになるが、僕にとってあまり重要ではない。沖縄の特段の興味は、この地を行き交う「ひとの流れ」にあった。成長を続ける沖縄の観光客数は、2017年の時点で1000万人弱に。割合としては、国内観光客が8割。残りの2割が海外観光客で、台湾、韓国、香港といった東シナ海に隣接する国々から多くのひとびとが訪れている。日本の玄関口ともいえるこの地に、希望に満ちた未来を感じ、僕は新たな拠点として「沖縄」を選んだ。ひとりよがりであろうと、沖縄でどのような役割になれるか考えていた。旧拠点の東京と沖縄を行き来する中で、問題意識と共に「沖縄と内地(沖縄県外)をつなぎたい」という想いが溢れてきた。沖縄は同じ日本でありながら、日本の良いモノゴトに出会える機会が未だ希薄な状況にある。

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前職は、カリスマバイヤー・山田遊氏が率いる「method」に所属。商品、店舗、商業施設、地域活性化事業などの開発&監修業務を担当していた。モノにまつわるあらゆる業務を経験してきた僕だからこそ、微力ながらこの問題を改善していくことができるのではないか?という想いから、「飲む」という行為に焦点をあてた専門店「LIQUID」は誕生した。

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世界最古の文明・メソポタミアには、既にビールやワインが存在し、祭事や祝いの席で嗜まれていた。茶葉は紀元前には発見されており、7世紀頃の中国では国民的な飲み物として浸透。その後、客人をもてなすための洗練された作法や道具が生まれている。17世紀ごろのイギリスでは、コーヒーハウスという喫茶店が登場。政治家や貿易商らが集まり、社交の場での飲み物としてコーヒーが愛飲されていた。そして、今日。世界には多くの飲み物が存在し、「飲む」という行為もまた、家族や仲間、一見の人々との間で、その役割を変えながら、様々なひと時をもたらしている。LIQUIDでは、沖縄を含む日本でうまれたモノを中心に、あらゆるジャンルから選び抜いた「飲む」ための道具や家具、飲み物などを販売。それらを体験するコトができる飲食メニューも提供している。「飲む」という行為から、沖縄と内地をつなぎはじめている。

最後にLIQUIDで扱う「飲む」ための道具から、木地師・渡慶次弘幸氏と塗師(漆を塗る職人)・愛氏による沖縄の漆工房「木漆工とけし」より、『BLACK SPOON』をご紹介する。使い易さと強度、そして口当たりのよさを追求した木地は、色々な形状の鑿と鉋を使い分け、部分ごとに厚みを変えながら、ひとつひとつ手作業で。その後、生の漆で木地を固め、滑らかな漆で何層も丁寧に塗り重ねることで、まるで人肌に触れているかのような、柔らかな口触りのスプーンに仕上げている。漆工馥品の一番の魅力である「口に触れた時の心地よさ」を直球で体感できる、日本の伝統技術により産まれた逸品で、ぜひカレーでも。ちなみにLIQUIDでは「カレーは飲み物」として捉えている。

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LIQUID

No.030 1-20-17 Kakazu, Ginowan City, Okinawa 901-2226 Japan.
tel.098-894-8118
info@liquid.okinawa
http://www.liquid.okinawa/


フリーダム・ディクショナリー
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