しりあがり寿 個展 心頭滅却すれば火もまたCooL!!

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企画:桑原茂一(freedom dictionary)
共催:光明院
回帰:2022年4月16日(土)~5月15日(日)
会場:光明院臨済宗東福寺派 大本山東福寺塔頭
展覧会:無料
拝観料:300円
所在地:京都市東山区本町15丁目809
連絡先:075-561-7317
https://komyoin.jp
拝観時間:通年午前7時ごろ~日没ごろ迄(季節により変動)

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なんと、京都東福寺光明院で作品を展示させていただくことになりました!
東福寺光明院といえば臨済宗の名刹、そして臨済宗と言えば戦国時代
甲斐 恵林寺の快川禅師が信長の焼き討ちで火に囲まれたときの言葉「心頭滅却すれば火もまた涼し」が思い出されます。
子供の頃、その逸話を聞いた時に感じたのは「まじかよ!」でした。
だって火も涼しく感じるってどこまで「心頭滅却」万能なんすか?
心頭さえ滅却できれば寒い時も暑い時も悪口言われた時もテストがひどい点でも好きな子に冷たくされてもなんなら体中刃物でめった刺しにされてもヘイチャラなわけです。

これはスゴイ!心頭滅却の境地に達すれば怖いものはなくなる!
外の世界の悩みなど内面のコントロールで全て解消できるのでは!
とばかり会社が退屈なときには資料室に隠れて瞑想のマネごとをしてみたり、酔っぱらっても日はまた涼しいかもしれないとばかり、酩酊に逃げたりしました。

あれから幾星霜、幸い火に囲まれることもなくそのために心頭を滅却することもなく、ただ外の世界の煩わしさをなるべく避けて自分に優しく生きてきました。
果たして自分はお花畑の中で生きてこれたのでしょうか?
それとも迫る炎を観ようとしなかっただけなのでしょうか?

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自分はまた小さいころから移籍や化石古ぼけた仏像が好きでした。なんというか金ぴかの新品にあまり興味が持てなかったのです。
プラモデルを作っても汚れた感じの塗装をしたり実際にどこか壊してみたり。なぜかそんな壊れたもの古ぼけたものの方に世界の実相を感じました。

なんとなく、人間は生まれた瞬間母体という「世界」から切り離され不安の中で生きながらまたいつか「世界」と一体になることを願っているような気がします。
承認欲求やいわゆる忘我の状態などはその一つかも。
自分が年くったせいか、国が落ち目のせいか、どうにも「劣化」が気になります。
全てのものは更新しなければ劣化する。ここはがんばってちゃんと更新すべきところは更新していかないとヤバい!と自分にムチ入れたりします。
だけど、自分の中にどうにも昔からの「劣化」や「滅び」にウットリする気持ちがある。もしかしたら伝統的なワビザビにつながるDNAかもしれない。
諸行無常なんて言葉大好きだし。あるいはホントに自身の滅亡に縁がなかっただけの余裕、贅沢、奢りかもしれない。
でもホント権威や栄華を誇る宮殿が時の流れに逆らえず砂にのみこまれていくのを見ると、ほくそ笑んでしまう自分がいる。
そんなこんなでここ数年、劣化を意識した作品を作ってきたんだけど、1年くらい前にふと絵を焼いてみた。
そしたらそこにはそれまでの色を剥がしただけの作品と違う痛みがあって。古ぼけ、色が褪せ、苔にのまれていくのはどこか時間や滅びとの和解がある。
だけど焼かれるものは自分が無くなってたまるかという抵抗がある。

今はなんだかこの焼かれる絵にリアリティーを感じる。
外出もできず閉じ込められたコロナの日々の影響かあるいは文字文字どおり街を包囲され炎に包まれるウクライナを見てのことか。
自分ももう少し生きていたかったりする。

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心頭滅却してもコロナは治らないし、
心頭滅却してもロシアは引き下がらない。
もういいや、まだまだ、もういいや、まだまだまだ
そしていつか最後の最後の最後に
心頭滅却すれば火もまたcool

※掲載作品は実際の展示と異なる場合がございます。


しりあがり寿 SHIRIAGARI Kotobuki

1958年 静岡市生まれ。 1981年 多摩美術大学グラフィックデザイン専攻卒業後キリンビール株式会社に入社し、 パッケージデザイン、広告宣伝等を担当。
1985年 単行本『エレキな春』で漫画家としてデビュー。パロディーを中心にした新しいタ イプのギャグマンガ家として注目を浴びる。
1994年 独立後は、幻想的あるいは文学的な作品など次々に発表、新聞の風刺 4コママン ガから長編ストーリーマンガ、アンダーグラウンドマンガなど様々なジャンルで独自な活 動を続ける一方、近年では映像、アートなどマンガ以外の多方面に創作の幅を広げている。
twitter:@shillyxkotobuki
www.facebook.com/kotobuki.shiriagari
http://www.saruhage.com/

Born in 1958 in Shizuoka City, Japan. After graduating from Tama Art University with a major in Graphic Design in 1981, SHIRIAGARI joined Kirin Brewery Company, Ltd. and worked on packaging design and advertisements.
In 1985, he debuted as a cartoonist with the book Ereki na Haru, receiving attention as a new type of gag cartoonist whose humor centers on parody.
Working independently since 1994, SHIRIAGARI continues to release fantasy and literary series works and other works in a wide range of genres, including satirical four-panel comic strips for newspapers and long-form narrative manga, as well as underground manga. While continuing to release original work, in recent years he has expanded beyond manga into a variety of media, including video and art.


フリーダム・ディクショナリー
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