MAORI MUROTA
友人を余蘊での手打ちうどん好きなモノ乗っけ放題会。肉味噌、キュウリ、葱、茸のソテー、生姜、ライム、香菜、ピーナッツ、赤玉葱等、茹でたての手打ちうどんに好きな物をそれぞれのっけてひたすら食べる。(photo by Marine Shimoyama)
IMAGINE
RC サクセション 忌野清志郎
小さい時に ザ・タイマーズのアルバムが家で良くかかっていまして、なんだかちょっとイケナイ事を歌っているけど、なんだかとても大切な事を伝えたい歌だ!と言う事だけは感じていました。それからずっと、清志郎さんのファンです。でもなぜかこの曲は知らずに、偶然Youtube でこの曲を聴きました。フランスでの新聞社襲撃事件テロの後でした。以来ずっと心の中にあります。
I HAVE A DREAM
夢はいろいろと形を変えつつ、常に持っています。妄想気味のあれがしたい、こうなったらいいな。それが私の原動力です。子供の頃初めての夢はバレリーナになる事でした。(ピンク色のチュチュに憧れたあの時代)大人になった今はバレリーナにはならず、パリで平日の昼は小さなレストランで日替わりでご飯を好き勝手作らせてもらい、週末はケータリングやら出張料理屋らをどったんばったんやっている日々を送っております。今の夢は、小さな食堂をオープンさせる事です。カウンターがメインのテーブル席がほんの少しの食堂で、夜には一杯飲み屋になって、お昼に食べに来た人が、夜にも一杯引っ掛けてちょこっとつまんでお家に帰れるような。お客さんの顔が見られて、しょっちゅう気軽に食べに来てもらえるお店です。(そしてコスプレ的に割烹着も着たい。)私の料理は家庭料理です。先生は母であり、父であり、料理人と言われる人達のようなテクニックも、知識もありません。でもこれでいいと思っています。
これがいい、とも思っています。ハレの日の料理ではなくケの日の料理を、ちゃんとした材料で一生懸命作って人に食べてもらう。パリという都市で、自分で料理をする時間もエネルギーも無い人が沢山いる場所だからこそ成り立つ仕事です。私の両親は大変な食べ物好きです。作るのも食べるのも少なくとも人生における40%くらいの情熱は料理に注がれているに違いありません。子供の頃それはそれは食事にまつわる喜びが沢山用意されていました。母が毎日作るお弁当の蓋をあける時のわくわくと誇らしさ。毎日何が出てくるか楽しみで余り間食もせずに学校から帰って来ると並べられる夕食、週末に朝から父に叩き起こされて手伝わされる餃子の皮作り、うどん打ち、手作り肉まんのおいしさ。今はこうして料理を人に作って食べてもらえる事によって、子供の時のあの喜びを再体験しているようです。常連さんの、初めてのお客さんの、顔を見ながら話をしながら料理を作る。食べてもらえる。自分の家のテーブルとキッチンの延長です。
そんなスペースが作れたら素敵だなあ、と思っています。そして、願わくば一年に二ヶ月はふらりと食い倒れの旅に出たい。バカンス期間の長いフランスではそんなことを言っても誰にも怒られないので、こういう夢を見る事が出来るのも、この国のいい所です。
MAORI MUROTA
二匹の猫と髭仏人とパリ19区に在住。
ケータリング、出張料理、フードイベントの他に、現在はVerre Volé sur Merで平日のお昼を担当。
Instagram : maorimurota
PEOPLE : MAORI MUROTA