SEALDsインタビュー

2015年9月10日木曜日 午後2時原宿カフェREFECTOIRE メンバー:今村幸子 / 牛田悦正 / 神宮司博基 インタビュー構成・写真:桑原茂→ ページデザイン:池上祐樹

今村 いえ、男性もいらっしゃるみたいです。

桑原 ミドルズは?

牛田 中年の方で30〜40代くらいだと思います。

桑原 そういう人たちに勇気を与えているっていうことだよね。 

牛田 そうですね、SEALDsがSEALDまでは大文字で、あと最後のsだけ小文字なんですけど、OLDsもMIDDLEsも最後が小文字なんですよ、完全に影響を与えているんじゃないかという。

神宮司 OVERSEAsというのもできていて、海外在住の日本人の方々が集まってSNSなどで声を上げていて。それも最後のsが小文字なんですよ。

今村 あと、 先生たちで、TOLDs(TokyoのLiberalでDemocraticなSenseiたち)も出来た。

桑原 TOLDs?

牛田 先生たちの団体です。
(話題飛ぶ)

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牛田 イメージ的には、やっぱり壊さないと新しく作れないっていうところがあるんですけど、この社会そのものを安倍政権がぶっ壊そうとしているので、だから作れるのかもしれないですよね。

桑原 彼らが壊そうとしているからかもしれないというのは、それはいい視点です。今あるこの国の中にオルタナティヴな日本を黙って作ってしまう気持ちはすごく前からあった。別の日本がありますよと言わなくても、気がついたらあるっていう状態が一番いいよねって。そんな気持ちが、まさにSEALDsの話を聞いていると、それが動き出したなって気がする。

牛田 僕が重要だなと思うところは、また思想の話になってしまうんでが、フーコーが、二つの闘いがある、二つのゲームがあるんだっていう話をしていて、一つは「ゲーム内闘争」、一つのゲームのルールの中、例えば国家の枠組みとかの中で、そのゲームのルールを変えていくっていう闘い。もう一つは、「ゲーム外闘争」で、それはゲームから出ちゃう、そこから脱出して、オルタナティヴを作るっていう闘いなんです。
 例えば70年代以降の動きを見ると、セクシャルマイノリティの面、LGBTの文脈で、個人の発言がちゃんとできるようになったりして、とてもいい面があった。しかしまた、個人主義が行き過ぎたっていう面もあるんです。それで、国じゃなくて、国家の外に出て、個人として私が、個人としてここで愛を歌うことが、それこそが政治だというような主張が出てきてくる。それでも国はやっぱり動いていく。だから国がほったらかしになってしまい、暴走スイッチが入ってしまったらそのままということのような事態になってしまう。
 僕らが気づいたのは、「外」にいてもダメだということです。だから一回、大きい政治の枠組みの「中」に入って、そのゲームの中でオルタナティヴを作り出して、そのルールを変更していく。それが大事なんじゃないかと思ったんです。もちろん両方必要なんですけど、完全に外に出ちゃってからオルタナティヴを作っちゃうと、それはそれで自閉していってしまうんですよね。

桑原 今日、三人からすごく勇気づけられているんですけど、その「中から」っていうのは、本当に可能なんでしょうか?なんて言ったらいいのか、江戸時代から綿々とつながっている、このがんじがらめの社会のシステムっていうのが、あの戦争を乗り越えてもなお残っているわけですから…

神宮司 直接的な答えにはなっていないと思うんですが、最近自分も、他のメンバーが行けない時には、代わりに来てインタビューに答えることがあって、そういう時によく聞かれるのが、「あなたにとって民主主義って何ですか?」という質問なんです。その時に答えているのが、「民主主義ってなんだ」っていうデモでのコールと同じことなんです。きっとすぐ、簡単に答えは出せない、でもだからこそ、「民主主義って何だ?」と問い続けて、その答えを模索していく。そしてもしかしたらこの過程こそが実は民主主義的なものなんじゃないかと思うんです。
 そして、きっとさっきの、「この社会を内から変えれるんでしょうか」といった、このような「問い」を持った時点で、ある意味状況は変わってるんじゃないでしょうか。「どうやったら変えれるんだろう?」という疑問を何も考えないで生きていたら、それは変わらないし何も変えられないんですけど、じゃあ、どうやったら変えられるんだろうと思い続けていたら、もしかしたらある日何か、誰かと出会うかもしれない。そこで何かが起きて変わるかもしれない。だからその「問い」を捨てないで日々生きて行く人を増やしていったら、無意識的に社会は変わっていくと思うんですよ。

桑原 なるほど、今、答えがなくていいんだと。

神宮司 必ずしも今答えはない。「民主主義ってなんだ?」「なんだ、、、なんなんだ?」って、答えは出せない、けど問い続けて、自分の民主主義これなんじゃないかっていう人が増える事。それがきっと長い目で見たら、「民主主義というもの」がこれだったんじゃないかっていう回路に辿り着くための必要なプロセスだと思うんです。だから何が正しいかっていうのは簡単じゃないですよね。この答えをやったら100点、もうそこに行ったら完成っていうのは、やっぱり難しい。
 だからどうやったらいい日本を作れるんだろうな、というのを考える人たち、それが増えていったら、ここで僕たちが桑原さんと会えたみたいに、一つ回路が生まれたりするわけですよね、それでもう微かにですが変わっているんだと思うんですよ。だから配線を変えるっていうか、色んな、こことここが繋がるんだっていう回路、それがまた何か新しいものを生んでいくっていう、本当に終わりがない、その繰り返しが大事なんだと思います。

牛田 SEALDsもSEALDsがオリジナルなんじゃなくて、実は311以降の反原発運動や、それまでの反レイシズム運動だとか、Tokyo Democracy Crewだとかっていうのを見てきて、その流れに僕らもあるんです。それで、この間twitterで僕が今の運動での核心部分だと思ってることを言ったら、それまで運動をやってきた人の中でも目立つ人が、これは311以降の運動の重要な点を完全に掴んでいると言って、僕の発言をすごい褒めてくれたんです。
 それは何かっていうと、僕らはルサンチマンがないって言ったんです。ルサンチマンのル(re)は「反復する」の「反」とか、「再び」とかって意味で、サンチマン(sentiment)ていうのは、センチメントのことで、「感情」、つまり合わせると「反感」のこと、何かに対するリアクションとしての「反感」なんですよ。で、それがずっと今までの運動にはあったんです。つまり何かがあるのに対して、反感を持つという形だった。でもそれって結局必ず否定のエネルギーになってしまうんですよ。だから否定のエネルギーをどこかへと向けてしまう、そうすると最終的に最初反感を持った対象を倒した後にも、今度は自分にもその否定のエネルギーが向かってしまう。それは多分辛くなってしまう。でも、僕らは違うんですよ。

桑原 素晴らしい、完璧。

牛田 リアクションじゃなくて、アクションなんです。Students Emergency Action。どういうことかというと、まず一番最初にあるのは、自分の肯定なんですよ。俺が生きていていいっていう。生きることの肯定、音楽を聴くこととか、そういうことの肯定から、入っている。

桑原 Respect Yourself (The Staple Singers)っていう曲があるじゃないですか

牛田はい。そうですそうです。そういうことで、ヒップホップなんですよ、完全にヒップホップで。それをしかも、ドゥルーズが言ってるんです。自分が生きていていいんだっていう。僕が最近ずっといっているのが、「生きてるぞ」って伸びをするじゃないですか、うーん、って朝起きて、その朝起きて伸びをした時に、腕の先に安倍晋三がいて、ばーんって殴ってしまうみたいな、それぐらいのイメージなんですよ(笑)ただ道を歩いていたら小石があってそれを蹴ってしまったぐらいの(笑)ただ進んでいる時の障害物みたいな。それは、決してそれを否定するために言っているわけじゃなくて、生きているから、必然的に否定されてしまう人が出てしまうっていう。そういうイメージ。だからポジティブなエネルギーっていうか、強い。
ただ、さっきの話にちょっと戻すと、さっき「ゲーム内闘争」をしないといけないって言ってたんですけど、ゲームって実は広いっていうか、実は思考の変え方だと思うんですよ。じゃあどこでゲームを見るかっていうと、この世界全体をゲームだと捉えちゃうっていう。僕はこの世の中をフィクション的に成り立っていると考えているんですけど、僕が思うに、こういう事自体が政治だと思ってるんです。でもArtって、語源を辿っていくと、アルス(Ars)とか、テクネー(Techné)っていう言葉に遡れるんですけど、単純にArtって日本語に翻訳するときに、「技術」とも訳せるじゃないですか。つまり「技術」とか「工夫」なんですよね。人間の生きることを豊かにしていくための工夫というか。しかもその工夫ってよりよく生きられる社会を作るっていう、ある種「政治」でもある。だから広く捉えると、僕が単純にラップすることも実は政治でもあるっていう。

神宮司 政治という言葉はPoliticsの翻訳語としてあると思うんですけど、ポリティクスってやっぱり元はギリシャのポリスから来ている。ポリスって何かというと、「人々が生活する一つの共同体」、ポリティクスは、広く捉えるとそのポリスに関わること、ポリスを作り上げる技術とか方法なんですよね。だから思い切り視野を広げて考えてみると、実はポリス、つまり「共同体」を作り上げることに関わることはそれはポリティクス、「政治」と言えると思うんです。だからもし、この雑誌(dictionary)を誰かに渡して、それを読んで、何か思考や考えが変わり始める、微細でも、もしそれが共同体の形成に関わることになったら、それはポリティクスに関わるもの、「政治」って言えるものなんじゃないでしょうか。だからもっと広い意味で政治は捉えられるのかなって思ってる。さっき、質問で、「どうやったら社会って変えられるのか」って質問があったと思うんですけど、もしかしたら自分が生きている間には、完成しないかもなっていう気持ちはあって。でも、それはやっぱりゲットー・ブラザーズなんですよね。ここで、もし自分たちが駄目だったとしても、アフリカ・バンバータが次に出てくるから、大丈夫っていう(笑)。それで、「ヒップホップ」が、「民主主義」が、またカルチャーとして後で生まれてくる。長い目で見た時に、あの時失敗した、ゲットー・ブラザーズとか、もしかしたらSEALDsとかが、いなかったらきっと完成していなかったよねっていう一つのピースにはなれる。ここで駄目だったとしても、でもやるっていうか。それはたとえ自分がここで完成させることが出来なかったとしても、誰かがまた、次の「アフリカ・バンバータ」がやってくれるっていう希望は、やっぱりある。

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桑原 SEALDsがやっていることは政治闘争とも言えるけど、やっぱり文化なんだなということ、それが今日の印象としてものすごく嬉しかった。これは文化運動なんだっていうことが、本当に嬉しかったですね。

牛田 そうなんです、カルチャーを変えていくっていう。やっぱり政治とカルチャーって同じようなものなんですよね。カルチャーを変えるって言った時に、文化の核心にあるもの、最も根源にあるものって「言語」、「言葉」なんですよね。それで、カルチャーが狂って行く時って、やはり言葉が狂って行く時だと思うんです。だから例えばいま安倍さんがやってることって、完全に『1984』に出てくるニュースピークで、”War is Peace”って嘘ついちゃうんですよ、平和安全法制とかって言っている。逆じゃんって。しかもそれを、その真逆のことを受け入れさせていくっていう。すると言葉が狂って行くんですよ。そうすると、社会が組み立てられるためには言葉がしっかりと定礎されていないと絶対にいけないので、きっと社会も狂って行くと思うんです。
 そうした時に僕らがやっていることはやっぱり取り戻すこと、色んな意味で、「言葉を取り戻している」ことだと思うんですよね。路上で、個人が自分の意思で、そこに立って、自分の意見を言うっていうことを通して。そしてみんながすごいのは、スピーチをする時に、「SEALDsとしてこうだ」とか、言わないんですよ。「我々の団体は」、とか「我々は」、っていう言葉を絶対使わない。「私は」、って一人称が絶対に「私」なんですよ。私は、これこれこうで、こういうことがあって、今日は例えばこのデモにくる前に原宿に言って水着を買って、海に行くための水着を買って、それで今水着を持ってここに来てますみたいな(笑)。それでもなぜ反対するのか、しっかりと主張すべきことを自分の言葉で言っている。そして最後に自分の所属、大学名や名前を言って、「私は、戦争法案に反対します」って言う。個人なんですよ。そこですでに今までなかったスタイルウォーズが起こっている。こうしたことは実は、言葉を取り戻す、主体が言葉を取り戻す、そして主権者になるってことだと思うんです。そして、もう一つ大事な事があって、それは政治学者の人が言っていたことなんですけど、言葉をActivateさせるっていうこと。つまり、言葉を運動させる、ってことなんです。つまり今まで「自由」とか「民主主義」とかといった言葉が凝り固まった制度として捉えられていたのを、僕らはほぐしていく。ほぐしてあげて、「民主主義」ってそうじゃなくて、さっき神宮司君が言っていたような問い続けることであるとか、我々が自分を主体として認識することだとか、そういうことがそもそも「民主主義」なんだ、「民主主義」的なものなんだっていうことへと変えていく。でも、それは完全には達成し得ないから努力し続けて行くというふうにして、固体的なものから、流動的なものへと変えていく。そういうようなことが結構でかいと思う。

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桑原 (途中でインタビューに加わった今村に対して改めて質問して)大学は?

今村 日芸の文芸学科です。現代詩とか小説とか書いています。

桑原 さっき出版って言っていましたけど、それはもう働いているんですか?

今村 いえ、出版班というのがありまして、

桑原 あー、班があるんだ

牛田 SEALDsの中に出版班というものがありまして。

今村 ページデザインとか、諸々を。素材集めとか。連絡係とか諸々をしています。

神宮司 毎日徹夜で。

桑原 徹夜しないと間に合わない感じなの?

牛田 昨日も結構夜遅くまでずっと作業をやっていてみたいな感じです。

桑原 途中からだったんですが、SEALDsの中での役割と、今後の、展望というか、自分なりに見えていることを聞かせてください

今村 自分の役割というか、所属している班は、「出版班」と、「コールセンター」で取材を振ったり、「コンテンツ班」で、文章の構成を頼まれたりしています。

今村 それは今の学校で、専門の勉強をしているということ?

桑原 いや、私は創作の方なんですけど、出版の時に例えばクエスチョンマークやエクスクラメーションマークの後には一マス開けたりとか、常識なんですけど(笑)、そういうもののチェックとかしています。

桑原 インタビューの時の文字起こしとかも?

今村 文字起こしは、他のメンバーで、やっぱり文学系の人がやってくれています。役割分担をしていて。

桑原 デザインもやっているの?

今村 デザインはそんなにやっていないんですが、ソフトを持っているので、一応デザイン班にも入ってます。ページデザインとかもやったんですけど、ほんとは別に専門ではなくて(笑)

牛田 デザインはデザイン班が担当でやっていて、

桑原 また別に、デザインはデザインの班がやっているんだ

牛田 はい

神宮司 本当に色んなところから学生が来ていて、それぞれが自分の得意なことをやるっていう。写真とかも、色々。

桑原 完璧ですね。

牛田 本当に文化を変えたいと思っていて、今考えているのが、選書班というのがあるんですが、SEALDsが影響を受けた15冊を選んで、それを冊子にして、書店とかに置いてもらえることになったらやばいんじゃないかなみたいな(笑)、それで今思いついたのが、11月とか暇になって時間が出来たら、CDの、音楽のコーナーも出来たら面白そうだなって。

今村 インスタ(Instagram)で写真をアップする担当の人とも話していたんですけど、政治のこととかが日常にあるといことを考えるのが当たり前っていうのがわかるように、インスタとか写真で、そういうことを考えることがかっこいいし、当たり前だし、というふうにしていこうよみたいな話をしていました。

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