ヒロ杉山個展「グレーの壁に呼び込まれた絵画たち」

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Exhibition
2024年3月2日(土)-3月16日(土) 水曜日・日曜日休み
ヒロ杉山個展「グレーの壁に呼び込まれた絵画たち」

川崎中央卸売市場北部市場の2000台近くの車が停められるという大きな駐車場に車を停め、目的地を探す。1〜2分歩き、その目的地はすぐに目に入ってきた。卸売市場の中という特殊な場所にカフェ&ギャラリー「調理室池田」はあった。
この卸売市場という独特な雰囲気の中で、「調理室池田」のその佇まいは、異次元な空気感を作り出していた。ガラスのはまった古びた木の引き扉を開けカフェの中に入ると、白壁の店内にアンティークのテーブルと椅子が気持ち良く並べられている。
カフェの中を取り抜け2階のギャラリーへ上がると、その部屋は、明るい1階の店内とは一変して薄暗く、壁には小さな窓があり、微かな自然光とたった一つの裸電球とグレーの壁が、その部屋を暗さを演出していた。ゴッホの「ひまわり」の絵の中で使われていたものと同じデザインのアンティークの壺や、食器や木製の卵置きなどが古い棚の上に並んでいる。
フランスの田舎町にある一軒家、その屋根裏部屋のような場所である。ここがギャラリーであるとわかると、一気にその展示イメージが湧いてきた。この空間に置かれた、セザンヌやマチスの「ブラックシリーズ」は普段ホワイトキューブの中で見せる顔とは違った装いをしてくれる気がした。
Place
調理室池田 Breakfast, Antiques and Gallery
川崎市中央卸売市場北部市場 関連棟45 7:00-13:00L.O.(土14:00L.O.)ランチ11:45 水日祝休み 一般のお客様の市場への入場は8時から。ご来店の際はHPもご確認下さい。
https://chourishitsu.tumblr.com/

幕末から明治中期にかけて活動した最後の浮世絵師と呼ばれた月岡芳年。
彼が1885年から発表し、のべ8年を掛けて完成させた大判錦絵「月百姿」と武者絵をモチーフにしたブラックペインティング。ブラックペインティングシリーズとしては初の浮世絵作品である。数ある浮世絵の中より、月岡芳年の浮世絵を選んだのは、彼の描く構図に惹かれたからである。
紙面の左斜め下より右斜め上へ対角線を意識した大胆な構図、特に武者絵では、主人公の躍動感のある大きな動きが目立ち、シルエット化したときに、その輪郭が際立って見えてくるのである。


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ヒロ杉山 Hiro Sugiyama

東京生まれ。 湯村輝彦氏に師事。1989年に谷田一郎氏とともに 「近代芸術集団」 結成。 1997年にクリエイティブユニット 「エンライトメント」を結成。2000年村上隆のスーパーフラット展に参加。 現代美術の世界で国内外の展覧会にて作品を発表する。

続きは本誌で御覧ください。

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