KAMIDE Keigo

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哀しみのルート16 / 松任谷由実

まるで海にいるかのような土砂降りの雨と涙を歌った曲で、 主人公は別れを切り出した恋人が運転する車の恐らく助手席に座っ ている。 八王子市の呉服商の家に生まれた松任谷なので、タイトルの「ルート16」 とは国道16号線のことで間違いないように思 われる。さて、この絵は歌川広重が浮世絵に描いた 「金沢八景」の一つ 「小泉夜雨」 (こずみのやう) をモチーフに描いたもの で、絵の舞台となった手子神社 (小泉弁財天) 国道16号線沿いにある。 今では埋め立てられてしまったが、かつてはこの場所 からも海が見えたそうだ。 広重の絵に刻まれている京極高門の和歌 「かぢまくらとまもる雨も袖かけてなみたふる江の昔を思 「う」を読んでいて、 大きな波の中の舟行に身も心もずぶ濡れになったかのようなこの曲に合わせてみようと思った。
*かぢまくら (楫枕 梶枕 枕) 船の中で眠ること。 船の旅。 *なみたふる江-波と涙の掛詞か。

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Sentimental Route 16/ Yumi Matsutoya

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上出惠悟 Keigo Kamide

1981年石川県生まれ、 2006年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。 同年より、 1879年創業の九谷焼窯元である上出長右衛門窯の後継者として、職 人と共に多くの企画や様々な作品を制作、 伝統の枠に囚われない柔軟な発想で九谷焼を現代に伝える。 2013年合同会社上出 (かみでしげぃ) 設立を機に本格的に 窯の経営に従事すると共に、 九谷焼を背景にした豊富なリソースと、 古典的な染色技法である描用いたイラストレーション、パッケージデザイン制作を担当。 また個人作家としても活動し精力的に個展を開催している。 今年、新作となる彫刻作品 《B-P-F》 を発表した。

Keigo Kamide (b. 1981 in Ishikawa) graduated from Tokyo University of Arts with a BA in Painting specializing in oil painting in 2006. During the same year, Kamide joined Kutani Choemon, his family-owned Kutani ware manufacturer founded in 1879. As a 6th generation successor to the historical pottery, he has been working with artisans to cr
eate various projects and products with flexible ideas unconstrained by tradition, breathing life to Kutani ware to appeal to modern living. Since Kamide Shigei LLC’s establishment in 2013, Kamide has been engaging in full-scale kiln management while also managing the product planning and package designing for brands. As an ind- ividual artist, Kamide holds subsequent solo exhibitions.

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