free paper dictionary #181 編集後記

写真・文 桑原茂→

『耳と手』

音楽を聴いて鳥肌が立つ人は脳の神経線維が密集している「特別な脳」の持ち主であることが判明。

私はこの歳になるまで誰もが鳥肌が立つと信じていました。

「音楽」とはオルガスムスの比喩であって、音楽の聞こえない女性が、分析医の熱心な援助と指導によって、ついに音楽が聞こえるようになるという発想は、いかにも三島氏らしい洒落た発想だ。
(三島由紀夫おぼえがき・澁澤龍彦著よりcutup)

そうなんです三島さんが洒落たように私も熱心な援助とは選曲家の創造だと洒落てきた身としては誠に信じがたい発表だったがよくよく見渡せばこの結果には合点がいった。今多くの人々を鳥肌立たせているのは音楽=聴覚だけではなく視覚嗅覚味覚などをあらゆる感性を巻き込んだエンターティメントではないか。社会は既に多様性を受け入れていた。つまり鳥肌立つ乃助をエリート扱いしている場合ではないのだ。こんな為五郎な研究発表に一喜一憂するのではなく柔軟性を失った自分の価値観に対峙し次の一手を考える。つまり人間とは?を知ることは人間の可能性を知ること。天国への階段を一歩上がって死ぬまでもっともっと広い視野で世界を見渡そう。

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フリーダム・ディクショナリー
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